Damian: Son of Batman
“The Batman lineage is a proud and honorable one that must be upheld. A link that cannot be broken. Fate, not chance, has brought this moment to you. You must take your place… as the next Batman.”
— Ra’s al Ghul
あらすじ
バットマンの死。バットマンの信念。バットマンの遺産。それらを全て背負い、ブルース・ウェインの実子、ダミアン・ウェインは次代のバットマンになることを決意する。
バットマンの死
バットマンとロビンはあの日、漁港で事件の調査をしていた。
死体と魚が散乱する現場を精査していく二人。バットマンは真面目に現場を検証していくが、ロビンはと言うと非情な現場にもあまり心動かされない様子で、緊張感も無い様子。バットマンに諫められても、どこ吹く風状態。
そのうちに、バットマンは不気味に微笑む一匹の魚を発見する。
分かりやすいと言えば分かりやす”すぎる”くらいの置き土産。
「ふむ…ジョーカーらしくないな…普段はもっと偽計的なはずだが…」
バットマンは道化の顔をしたそれを慎重に持ち上げた。
その異変に最初に気が付いたのは、ロビンだった。
「?バットマン?何か妙な音が…?」
ロビンがバットマンに声を掛けたのとそれは同時だった。
笑顔の魚の下に隠されていた爆弾が爆発したのだ。
激しい爆風に巻き込まれたロビンはしばらくして目を覚ました。
爆破の衝撃で飛び散った魚の残骸に塗れた頭を起こす。
「くそ…ハンバーガーみてえな気分だ…。俺が気づけたのに…なんでバットマンは爆弾に気づかなかったんだ?カウルのソナーが働かなかったのか…?」
状況を理解し立ち直ると、ロビンは即座にバットマンを探しはじめた。
自分以上に爆発の至近距離にいたバットマンを…。
「いたぞ!彼だ!…バッ、
バットマン……?」
罪の意識
その後……バットマン、‟ディック・グレイソン”の葬儀に参列しながらも、ロビン…‟ダミアン・ウェイン”の心中はディックの死への悲しみ以上に、重たい自責の念で一杯だった。
自分には爆弾から発せられる音が聞こえていた…なぜすぐに動けなかったのか…
自分だけが、バットマンに忠告できたのだ。
なぜバットマンを、ディックを救えなかったのか……。
己の失態に病んだダミアンは、ディックの死の原因となった犯人探しを決意する。
まずダミアンは実母と祖父の元を訪れ、助力を願った。が、あっさり拒否されてしまう。
バットマンの元へ行ったダミアンを、ラーズ一族が援護するなどあり得ないのだ。
そんな冷たい母の言葉に諦めと怒りを抱き、ダミアンは背を向けた。
しかしその背に、声を掛ける人がいた。ダミアンの祖父、ラーズ・アル・グールだ。
「バットマンの血統は誉れ高く、尊敬に値するものだ。決して途絶えぬ流れ…。これは機会ではなく、運命だ。お前は定められた地位にその身を捧げなければならない。
新たなバットマンとして」
重々しい祖父の言葉。
しかし、自分にバットマンの資格がないと思い込んでいるダミアンは頑としてその言葉を拒絶するのだった。
「俺がバットマン?馬鹿じゃねえの」
犯人探し
家族の助力が得られないのであれば、自力でバットマン殺害に関与した者達をあげていくしかない…。
ウェイン邸に戻ったダミアンは、バットコンピューターを駆使し、情報を集め始めた。
バットマンを殺したのは自分だと名乗りあげたヴィラン…
バットマンを殺したがっていたヴィラン…
それらをダミアンは探し出すと、
次々と殺害していく。
それは不殺を掲げて戦い続けてきた「バットマン」の作り上げた信念や象徴を穢す行為に他ならない。
しかしダミアンは止まらない。師でもあり兄替わりでもあったディックの死、それを招いたのが自分であるという苛立ちを敵への憎悪に変換し突き進む。
「まぬけどもが真実を喋っていようがいまいが関係ない。全員排除するまでだ…」
ダミアン自身、自分のこの行為の危うさ、間違いを薄々わかっている。教会で告解するなど戸惑いを感じさせる行動を取ることもある。
しかしディックの復讐を望む、自分を止めることが出来ない…。誰かが止めなければ……。
しかしかつて彼を止めて諭してくれたディックはもういない……
が、やっと、遂に、いつまでもこんなことを許しておかないリアルなパーソンが登場!
そう。
初代バットマンことブルース・ウェインです!
ブルース!!生きとったんかワレ!!!!
ダミアンが何をしているのかブルースは全て知っていた。
こんなことはやめるよう、ダミアンに強く迫ってくる。しかしダミアンも負けず劣らず頑なな態度を貫く。
「あんたの不殺主義は間違ってるんだよ、父さん。ウジ虫どもは根こそぎ駆除すべきだ。誰にも俺は止められない」
「確かにディックの死は俺の無謀さが招いたことかもしれない…だけどそもそも俺たちをあの場においた原因は、あんたの不殺主義だ!」
ダミアンの主張を受けて、ブルースの顔が歪む。
「なんということだ…ディックはこうなる危険性を知っていたが…
…私が終わらせなければ…今この場で!」
激しく衝突する親子…。そして…
殴られ、言葉でも追いつめられたダミアンは、身に染み付いた戦闘技術が働いたのか、ついにブルースの腹を刺してしまう。
動脈直撃は避けられたものの、重傷を負ったブルースはその場に昏倒。
騒動を聞きつけ駆けつけたアルフレッドもこの事態には激しい怒りを見せた。
ダミアンをアルフレッドに追い払われるようにして、ケイブから出ていくしかなかった。
積み重なる苦悩と運命
ディックの死…バットマンの死…バットマンの作り上げた全ての連なりを断ち切った責任……
罪の意識に苛まれたダミアンは、教会へ向かった。告解室で神父に懺悔を始める。
「俺は…自分の父親を…師を殺してしまうところだった…。それにバットマンの死は俺の責任だ…」
ダミアンの懺悔に神父が答える。
「己の罪を悔い、許されたいと願うのなら、君はまず、バットマンの正義と寛容のやり方に習い、ゴッサムの市民を救うべきだ」
「昨今、ヒーローと呼ばれる者たちは、”殺害”を、悪と戦う上で許容されるべき手段だと思っている。だがバットマンは違った。被告人を裁き、運命を決めるのは法であるべきだと、彼は考えていた」
「わかっています神父…だが犯罪そのものが消えれば、バットマンの目的も完遂されるでしょう?…俺はそれを目指したい」
「父から許しを得たいのなら…バットマンに対する罪を償いたいのなら、君はまずは己の魂を許しなさい。さもなければ、君は永遠の苦しみに住まうこととなるだろう。君の父を教訓としなさい」
「君の能力はすでに父親を超えている。君は世界最高のクライムファイターになれる…」
「全てを受け入れたその時こそ、君は真のバットマンになることができる」
バットマンというヒーロー
神父の言葉を胸に帰宅したダミアン。
夜となり…コンピューターでついにジョーカーの情報を手に入れたダミアンは、出動しようとケイブに入りこんだ。
そこで目にしたのは…ガラスケースに飾られた、かつて父が着ていたバットマンのコスチューム……
場所が変わり、ブルースの寝室に。
重傷を負い、寝たきり状態のブルースのそばに黒い影が立つ。
「ごめんなさい父さん……俺……、俺は、全然完璧じゃない…でも…ど、努力するよ。自分を変えて、最高のクライムファイターになる…簡単じゃないだろうけど…。
……俺が、父さんと…ディックにしたことを思うと、…本当に苦しい…魂が…搔き毟られてるみたいに…。だから…俺…変わってみせるよ…父さんが誇りに思えるような男になる…。
…父さんが俺にすごく期待してくれてたのも…知ってるから……」
「今度こそ、父さんとディックを失望させない」
「次のバットマンとして」
感想
ついに次代のバットマンになることを決意したダミアン。
果たして真のバットマンになれるのか?そしてディック殺害の真犯人は?
という全四話のシリーズ。
いろいろ途中省いてるうえに、無理矢理意訳してるとこもあるので、こんな流れですって程度でみてください。
ダミアンのバットスーツが好みだから読んだというクソな理由を言えなくなるくらい、いい話でした。でもバットスーツにコートはやっぱ最高ですね。
この後も誘拐されて吊るし上げられるブルース姫(初老)とか、
ついに人間をやめて黒猫になったアルフレッドとか、
盛りだくさんです。
超面白いです(語彙貧)
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