ジェイソン・トッドという男「Red Hood And The Outlaws: Rebirth」

ジェイソンとバットマンとの過去と現在を交差させながら、ジェイソンが決意した自分のあるべき姿が描かれた短編のあらすじ紹介記事です。

昔のブログからサルベージ

目次

Red Hood And The Outlaws: Rebirth

あらすじ

「あの夜」


「あの夜」が俺の人生を変えた。


それまでの俺はジェイソントッドと言う名のドブネズミだった。


母は死んだ。父親は一生塀の中。


俺もすぐ、親父と同じところに行くはずだった。


だが「あの夜」…


俺はバットマンに出逢った。


その夜、ジェイソン・トッドは、クライムアレイに止めてあったバットモービルのタイヤを盗もうとしていた。


周囲に気を配りつつ、あらかた作業を終えたジェイソン。


しかし、突然聞こえた咳払いに驚き、振り返った。

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噂には聞いてたさ。蝙蝠みたいな格好で悪い奴らを叩きのめすヴィジランテ。でも実際そいつが自分の目の前に立ってるのを見るまでは…自分のとこに来るなんて夢にも思わないだろ。


俺は逃げるべきだったんだ。


だがジェイソンは逃げなかった。工具を振りかざしバットマンに立ち向かった。しかし簡単に押さえ込まれてしまう。


ジェイソンの首根っこを掴み、自分の目の高さまで持ち上げたバットマンは、一つだけ彼に質問した。


「腹は減っているか?」


ハンバーガーを買い込んだ二人はゴッサムが見下ろせる丘の上にいた。


ジェイソンの食欲は凄まじかった。バットマンがゆっくり食べるように促すと、ジェイソンは適当に謝りつつ、こんな食事は、自分に家があった時以来だから、と答えた。


ジェイソンは、一度「ブルース・ウェイン」をつけ狙い、失敗したことがあると話した。
そんなジェイソンに、バットマンは、なぜ人から物を盗っていいと思うのかと尋ねた。


ジェイソンの答えは辛らつだった。金持ち。プレイボーイ。自分には無いものを、すべて持つ男への揶揄。


それを聞いたバットマンは、ジェイソンに言った。

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「人には何かしらのチャンスを与えるだけでいい。お前の思いも寄らないことを為すやもしれん」

幸せな日々


それからジェイソン自身思いもよらぬ展開で、バットマン、大富豪ブルースウェインの元で暮らすことになった。

道端で濡れた段ボールを寝床にしていた頃とは雲泥の暮らし。


ウェイトトレーニング、ファイトトレーニング、医学から犯罪学まで、ブルースやアルフレッドに与えられる広い分野の知識を、ジェイソンは次々と身につけていった。


全てがジェイソンにとって初めて触れるものだったが、レッスンや参考書以上に価値のあるものがそこにはあった。


それは、自分を信じてくれる人の存在だった。

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ロビンになったあの夜のことは、今でも鮮明だ。初めてのパトロール。


突然、俺の中で彼が‟バットマン”以上の存在になった。俺のパートナーだ。


その夜の敵は、トゥーフェイスだった。


乱闘が続くさなか、彼の銃口がバットマンに向いた。バットマンは反応できていない。考えるより早く、ロビンは相手に飛びかかっていた。


トゥーフェイスを組み伏せ、殴った。ひたすら殴り続けた。


相手の血が飛び散ってもロビンはやめない。バットマンの制止する声も耳に入らない。


バットマンに腕を掴んで怒鳴られてはじめて、ようやく拳を収めたが、トゥーフェイスはもはや抵抗する気力もない様子だった。

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あの時はまだ、バットマンにもわからなかっただろう…俺がヒーローになるか、それとも…何か別のものになるか。


そして年月は過ぎ、俺は”何か別の”方だったとはっきりした。

レッドフードという男

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もはやロビンではなくなったジェイソン、レッドフードは、市長の演説の場に乱入していた。

護衛に当たっていた警察官をバイクで撒き散らし、市長のそばに近寄ると、相手の言葉に耳も貸さず、銃口を向ける。


しかしそれを止める者がいた。


ジェイソンに立ちふさがったのは、バットマンだ。

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彼と初めてあった時の、ただのガキだった俺とは、もう違うと思いたい。


今の俺はバットマンを目の前にしても、もう心臓がバクバク鳴ったりしない。

…まあ嘘だが。


純粋な戦闘でジェイソンはバットマンに敵わない。

ジェイソンはだまし討ちの形でバットマンに電撃を浴びせ、バットマンを退けた。


市長を殴り飛ばし、跪かせたジェイソンは再びその銃口をその額に向ける。


バットマンはまだ動けない。


「ジェイソン…よせ…」

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ロビンの死


市長銃撃の報はすぐにゴッサムシティを駆け巡った。


主犯のジェイソンもまた、ヴィランたちの集まるバーでそのニュースを見ていた。

周囲の客はジェイソンの偉業を称えて興奮していたが、酒場の店主だけは別だった。


酒場の店主は、”レッドフード”を名乗るジェイソンに忠告する。

店主はオリジナルのレッドフード、ジョーカーを見たことがあった。

ジョーカーのただならぬ危険性を、店主はジェイソンに熱心に説いた。


しかし店主は知らなかった。

ジョーカーの狂気については、ジェイソンのほうがより詳しいことを。


ジョーカーにバールで滅多打ちにされ、動けないまま爆弾のカウントダウンを聞いたあの日を、ジェイソンは今でもよく覚えている。

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その後何が起きたのかはわからない。


俺は死んでしまったからだ。


 しかし、ジェイソンはラザルスピットの力で蘇り、ゴッサムに戻ってきた。

自分の復讐をしてくれなかったブルースに対する、怒りと落胆を抱えて…。


それ以来、ジェイソンとブルースの関係は変わってしまった。

ヒーローかヴィランか


酒場を後にし、ジェイソンは自分の隠れ家に戻った。


そこにいたのは、バットマンだった。

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バットマンは市長の容体を確認するため病院へ行き、その後、ここにやってきた。

市長は生きていた。

ジェイソンは市長を殺していなかった。


ジェイソンはテクノオーガニックウィルスに犯されつつあった市長に解毒剤を打ち込んだだけだった。殺したのではなく、市長を救っていたのだ。


「なぜ私に言わなかった」


「なら俺も聞くけどよ、ブルース。なんで俺を信じてくれないんだ?」


市長自身も、ウィルスに侵されていることを知らなかった。

だがジェイソンは裏のルートからその情報を入手していた。バットマンさえ知りえなかった情報だ。


この件にもっと切り込むためには、さらに深く、危険なエリアに踏み込まなければならない。アンダーグラウンドの住人を装い、彼らの一部となることでそこに至ることができる。


それがジェイソンの作戦だった。しかしバットマンは頑なだった。


「危険すぎる。許さん」


「俺の名前が、‟ディック・グレイソン”じゃないからか?」


「他の誰も関係ない。ただ私がここに立って、幾度も一線を超えてきたお前の過去に目を瞑ると本当に期待してるのか?」

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バットマンの言葉は冷たい。しかしめげずに、ジェイソンは言い募る。


「俺とあんたが会った時、あんた、なんて言ったか覚えてるか?チャンスをやれ、思いも寄らないことを為すかもしれない。チャンスをくれよブルース。レッドフードはバットマンの行けない場所に行ける。俺を手伝うか…でなけりゃ…ほっといてくれ」


ジェイソンは真剣に訴えた。バットマンは彼に背を向けた。


「もしお前が深い場所まで堕ちたと判断したら、私がそこから引き摺り出す。いかなる理由があれど…一つでも命を奪えば…私は現れる」


そうしてバットマンは行ってしまった。ジェイソンを一人残して。


ジェイソンは脱いだマスクを棚に置いた。


棚には、色々なものが飾ってある。


「あの夜」、バットマンから盗もうとしたタイヤ。


そして、一枚の古い写真があった。

その写真を撮った日のことを、ジェイソンは今でも覚えている。

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(どんな感じに撮る?自然なのがいい?)


(真面目にやれ)


(セクシーな感じ?)


(真面目に)


ジェイソンは大切なその写真にそっと触れる。


カメラを向けられた時は無表情だったが、写真のブルースは微笑んでいる。

バットマンの隣で、ロビンであるジェイソンも如何にも幸せそうだ。


ヒーローかヴィランか?


ジェイソンは内心で呟く。

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俺はバットマンができないことができる男。バットマンがなれないものになれる。


ブルースが望んだ男か?答えはNO。


だが彼もそのうち気付くだろう。


俺こそが、まさに、彼に必要な男だと。

感想のようなもの

・バットマン罪な男すぎて震える

・ジェイソン、基本がバットマンのためじゃん…何もかもバットマン基準じゃん…やりすぎちゃうのだってバットマンが好きすぎるからじゃん…

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この記事を書いた人

フィンランドに住みたい研究者かつフリーのWebデザイナーかつコーダー。
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