スーパーマンのジョーカーは誰?「BATMAN/SUPERMAN:Siege」

目次

BATMAN/SUPERMAN Vol.4:Siege

“You’ve Got Yourself A JOKER.”

BATMAN

あらすじ

事件の始まり

メトロポリスの病院前。いつもよりちょっとふとましいバットマンが誰かを待っています。

ほどなくバットマン(?)の目前にタクシーが到着。

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バッツ(?)「こんなの馬鹿馬鹿しいぜ…チャック…」


 バットマン(?)がぼやくと、がタクシーから降りた男、チャックは笑って答えます。


「世界は変わっていってんだぜ。俺を信じろよ。こいつは…」

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「スーパーマンの仕事さ」


チャックが胸元を開くとそこには誰もが知る「S」の文字が現れました。

スーパーマンとバットマン…のコスチュームを纏った二人。


彼らは入院している子供達を元気づける為に病院へやってきたのです。

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この話の以前、メトロポリスはブレイニアックの攻撃を受け、酷く傷つきました。

街も人の心も身体も、今まさに回復しようと、人々は寄り添い、様々な努力をしている最中。子供に人気のあるヒーローに扮し、勇気づける、彼らのこの慈善イベントもその一つなのです。


さてではクラーク・ケント、本物のスーパーマンはどうしてるかというと…

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海でシャチの保護活動に勤しんでいました。仲間のスティール、カーラ、クリプトも一緒です。


群れからはぐれてしまったシャチ達は無事に戻され、それを見ていた観客達からも歓声が上がります。

その平和な様子を眺めて、始めこそ幸せな心地に浸っていたスーパーマン。

しかしふと、奇妙な肌寒さを感じます。


そんなスプスの異変を感じ取ったスティールが声をかけます。


「どうした、ブルー」

「自分でもわからないんだ、スティール。…任務が”めでたしめでたし”で終わるのに、慣れてないからかもなあ」


などと自虐ネタを炸裂させていると…


突然、シャチの頭部が爆発。


スーパーマンは即座に、異変に対処しました。

混乱する場を収めようとしながら、市民らの安全を確かめていると、今度は別のところから悲鳴が。

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それはスティール、カーラ、クリプトの悲鳴でした。

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衝撃的な出来事ではありましたが、元が強く頑丈な仲間たちに、特に大事は無し。

が、現場はパニック状態。


いち早く立ち直ったスティールが、周囲を警戒しながら呟きます。


「一体誰が我々を攻撃したんだ?そして…どこに消えた…?」

「わからない。僕にも…速すぎて見えなかったんだ」


正直なスプスの答えに、スティールはぎょっとします。


「スーパーマンが見えないほど、速いだって??」


場面は再び、チャックの訪問している病院に戻ります…。


突然、窓ガラスにヒビが入り、小さな穴が開きました。


チャックには、何が起きたのかわかりませんでした。


しかし、ふと自分の胸元に目を落とし、

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「嘘だろ…」

「どうしたの?スーパーマン」


子供の一人が、チャックの異変に気が付き声をかけます。チャックは優しく微笑み、子供にはっきり答えます。


「…なんでもないよ。ちょっとシャツにケチャップがついただけさ。…すぐ戻るよ」


「S」の文字の真ん中を抑えながら、ふらふらと部屋を出るスーパーマン。


そして…

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犯人探し


(いつものクラークならば最低でも“やあ”だの無駄な社交辞令を欠かさない)

(だが今日は違う)


「協力に感謝するよ。始めようか」


(今日の彼は静かで、仕事熱心だ)

(私はこのほうが好きだ)

(だが正直、心配にもなる)

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チャックの身に起きた傷ましい事件を知ったスーパーマンは、親友のバットマンと共に、その殺害現場にやってきました。


シャチ保護の時に起きた仲間達の狙撃と、ほぼ同時に起きたこの事件。関わりがないとは考え辛い。

チャックのいた病室内は警察が探った後でしたが、さらにバットマンが検証し直していきます。スーパーマンもまた、自分の能力で検分します。


しかし結局、何も手がかりになるようなものは見当たらず。

調査はどん詰まりか…?

二人が思い始めたその時


「スーパーマン?」


二人のいる部屋に子供が顔を覗かせました。チャックと話をしていた子供の一人です。元気そうなスーパーマンの姿を見て驚いています。


「僕…あなたは死んだんだと思ってた」


チャックの最期の様子を、スプスも知っていました。

子供達を動揺させないよう、怯えさせぬよう、病室を出てからチャックは息を引き取りました。チャックは本物のヒーローで、スーパーマンだったのです。


「…いいや。僕は大丈夫さ。君は?調子はどうだい?」

「僕、あなたのボールちゃんと守ってたんだ」

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チャックのお手玉を受け取ったスーパーマンは、かつてチャックがしたように、それを巧に扱って見せます。子供たちの笑い声が病室に響きます。

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聖母きたこれ……


しかしそのほほえましい光景に唯一不満顔が。そうです僕らのバットマンです。


「スーパーマン…我々には時間が」

「スーパーマン…我々には時間が」 

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バットマンの隣にいた少年が声やポーズをすっかり真似して被せるのには、スプスも思わず笑ってしまいます。


 「まあ待てよバットマン。重要な情報を得られるかもしれない」


子供にお手玉を優しくパスしつつ、スーパーマンは子供たちへ、事件に踏み込んだ質問を投げかけます。


「それで…僕のスーツにケチャップがついたって?」

「うん。あなたがそう言ったよ。でも僕にはケチャップには見えなかったな」


少年はさらに続けます。


「それに、小さい虫を見たんだ」

「虫?」

「うん。ここに」


少年はそう言って、スーパーマンの胸を指さしました。

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スーパーマンのジョーカー

「要するに、我々は強力な虫サイズのドローンを操る何者かを探さねばならないということか」


バットケイブに戻った二人は容疑者を上げていきます。

レックス・ルーサー。へクター・ハモンド。サイボーグ・スーパーマン。またはクリプトンの技術を使える別のクリプトニアン…。


ケイブのモニターに彼らの顔写真を映し出してみせますが、バットマンはどれも違うと切り捨ててしまいます。


「彼らでは、君に対する憎悪が足りない」

「ルーサーが僕を充分憎んでいないって?」


スーパーマンは苦笑しますが、バットマンはいつものことながら要点と根拠を淡々と説明し始めます。


「この人物はまず君の親しい人たちを狙った。スティール、クリプト、カーラ…次に、ほぼ無関係のか弱い市民…。ただ“S”のコスチュームを纏ったという理由で彼は殺された」

 「ルーサーや他の容疑者ならこんなことはしない。まず君自身を狙う。だがこの犯人は違う。奴はゲームをしている。君にメッセージを送りたいんだ」


「なんのメッセージだ?」


「私にはわからない。そして君にも、恐らく一生理解できないだろう」


「一体何が言いたいんだ君は」


「私はこの類のケースを多少なり知っている。君は今、合理的な人間と対していないんだ、クラーク。奴らはまともな思考や倫理感を持ち合わせていない」


バッツは言い切ると、モニターに一人の男を映し出しました。

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「君は今、君の“ジョーカー”と対峙しているんだ」

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「ジョーカーだって?」

「無慈悲な偏執狂。ゲーム感覚で人を殺す狂った殺人鬼。君には決して理解できない人種だ」

「事態はさらに深刻だ。私のジョーカーは、町を脅かす存在でしかない。だが君のジョーカーは…スーパーマンである君を出しぬくほどのテクノロジーを有している。彼…または彼女の限界は未知数だ」


バッツの絶望的かつ的確な推測に、スプスは何も言えません。スーパーしょんぼりマン状態で項垂れ、沈黙してから、縋るようにバッツを見上げて口を開きます。


「…君はこの種のケースをどう扱っているんだ?そして僕は…どうすればいい?」


「考え付く限りの対策を取るんだ」

「まずは君と親密な繋がりを持つ人々、全員に目を光らせろ」

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モニターが切り替わり、スプスの友人たちが映し出されます。ロイス、ジミー、スーパーボーイ、スティールなどなど…。


子犬のような目で見つめてくるスプスにバットマン先輩の対狂人講義は続きます。


「君はこの戦いに勝利できる。が…、いかなスーパーマンとはいえ、全てに気を配る事は出来ない」


「その手で全てを守ることはできない」


「手のひらから零れ落ちるものもある」

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失われた者たちに思いを馳せ、バッツは遠くを見つめます。


「君でさえ、頭がおかしくなりかけるかもな…だが絶対に諦めるな。いずれは…やらなければならないことを…選択する瞬間が訪れる」


重苦しい言葉を紡ぐバッツに、スプスはそっと尋ねます。


「君は…、君はジョーカーを殺したのか?」


「いいや。何度も自分自身に問いかけ…自答し…だが幾度も…それでも、そうだ、殺していない。だが………いつかは……」


「僕は……僕は君のようになりたくない」


スーパーマンの零した本音に、バットマンは薄っら笑いました。

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「私も君にはそうなって欲しくない」

バットマンがバットデレ(希少)を発動させた、その時


突然バットケイブに警報が鳴り響きます。

何者かがバットケイブのコンピューターにハッキングをかけている。気づいたバッツは即座にシャットダウンを命じますが、コンピューターは受付けません。


異常事態を悟ったバッツはスプスに指示を出します。 


「スーパーマン!コンピューターは使えない!急いで…」

「待て」


ケイブのモニターを見上げて、スーパーマンは硬直しています。

そこには先ほどバッツが示した「スーパーマンの大切な人達」のライブ映像が流れていました。それを見たバッツは声を荒げます。


「これは私の監視映像ではない!」


するとそれに答えるように、ケイブに笑い声が響き渡ります。


(そう、これらは私のものだよ。これでわかっただろう?お前の最も大切な人々を、私は知っている)

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「何者だ?」


(ああ…狼狽したお前のその声…全く良い響きだ…)

(彼らが死んだときの、お前の鼓動を聞くのが待ちきれないよ)


「やめろ!」

「スーパーマン!あれを見ろ…!」


バッツが指したモニターはさらに映像を切り替えていました。映し出されているのは異なる三つの場所、異なる三人の人物。


メトロポリスで演説を行うレックス・ルーサー、ソウル・プラザの舞台で謡う女性、なにやら軍事会議をしている男達…。


「そんな…」


スーパーマンは勢いよくケイブを飛び出して行きました。


しかし 


「スーパーマン…」

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「遅すぎたようだ…」

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この記事を書いた人

フィンランドに住みたい研究者かつフリーのWebデザイナーかつコーダー。
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