今日はアメリカのケツとアメリカの未来を担うケツの話です。
Avenging Spider-Man #5
あらすじ
スパイディ「いじめられっ子だったオタク同士仲良くしようよ」
キャップ「もうオタ趣味は卒業したんで」
ストーリー
過去の作品
アヴェンジャーズ たちは新聞に載ったコミック”リバティーボンド(自由国債)”を読んでいた。
そのコミックはかつてアートスクールに通っていたスティーブ・ロジャースが書いたものだった。彼がキャプテンアメリカとなる前の話である。
原画を手にしたアンティークコレクターの手で、近々オークションにかけられる予定だった。
ほとんどのアヴェンジャーズが曖昧な興味しか示さない中、このコミックに最も興奮したのはスパイダーマンだ。
「これ本当にキャップが書いたの?このキャラクターの名前見てよ。ロジャー・スティーブンスだって。なんかちょっと…」
「何を持っているんだ」
突然現れたのは、作者であるキャプテンアメリカ本人だった。
「え…えーーーと、よ、よければサインが欲しいなあなんて…」
「…よくこんなものが見つかったな」
キャプテンはしばらく、かつての自分が描いた作品を眺めていたが、くしゃくしゃに丸めると躊躇いもなくゴミ箱に捨ててしまった。
「絵を描くのはもうずっと昔にやめたんだ」
「どうして?」
「ああそれは…、…」
キャプテンははっきりとした答えを避けた。そして自分の絵の話題などなかったかのように、アヴェンジャーズ に任務を命じ、移動を促す。
だがスパイダーマンはしつこかった。
「ねえキャップ。あなたのコミック、すごくよかったよ。みんなで楽しんでたんだ、本当だよ」
「もうよせ。過去のことだ」
そう言いながらも、アヴェンジャーズ のメンバーが行ってしまうと、キャプテンは一人でその新聞を広げ直した。
過去の自分が描いた夢物語を眺め、少しだけ笑った。
一方、他のメンバーたちと移動しながらも、スパイダーマンはまだ一人で興奮していた。
「キャプテンがオタクだったなんて!これはすごいことだよ。わかる?僕、なんかシンパシー感じちゃうなあ!君たちは僕のことをハンサムなタフガイ、スパイダーマンだってことしか知らないだろうけど…実は僕、科学オタクだからさ」
オタクといじめられっ子
現場に到着したアヴェンジャーズ たちはキャプテンから任務の詳細を説明されていた。
いつもと同じ流れにも見えたが、少しだけ違う点があった。
「…どうかしたのか?スパイダーマン」
「説明を聞き漏らさないようにしてるだけさ!…僕、近すぎ?」
「少しな」
「ごめん」
やけに距離を詰めてくるスパイダーマンを訝しみながらもキャプテンは説明を続ける。今回は二手に分かれて敵を撃破することになった。すると
「僕キャップと行きたい!いいよねみんな?僕キャップと組む!」
アヴェンジャーズ の面々は呆れながらも、スパイダーマンを止めはしなかった。
任務が開始されても、スパイダーマンはキャプテンにプライベートな質問をやめようとしなかった。
「昔さ、ボッコボコにされたことある?」
「なんだって?」
「わかるだろ、高校の頃さ」
「ああ、ある」
「僕もだよ」
「それは良かった…全員、配置についたか。5分後に突入する」
キャプテンの答えはあからさまに適当だが、スパイダーマンは全くめげない。
「僕は科学オタクだったんだよ。コミックオタクじゃないけど…でもどっちもさ、すっごい似てるとこあると思うんだよね」
「少し喋りすぎじゃないか」
敵を捕縛した後もスパイダーマンは話し続ける。
「超人血清を打たなかったらって考えたことある?」
「何の話だ?」
「有名なアーティストになってたかもしれないじゃない?」
「そうは思わない。私は…、…ウルヴァリン、応答してくれ。到着予定時刻は?」
「創作のアイディアとか必要だったら言ってよ!僕サイエンスフィクションとかも詳しいし。ねえ、明日の夜、キッチンで一緒になんか作らない?」
キャプテンは低く唸って答えない。
そのうちに他のメンバーが合流した。スパイダーマンは後でまた話そう、とキャプテンを誘ったが、さりげなく拒絶されてしまう。
「お前が思ってたほど、シンパシーとかいうのは向こうにはなさそうだな?」
ウルヴァリンは薄く笑ったが、スパイダーマンは全くめげていなかった。
「そうかも…うん…彼には、あの頃のことを思い出す何かが必要なのかも!」
過去の自分は、今の自分ではないのか?
「一体いくら払ったんだ?」
キャプテンは完全に呆れていた。スパイダーマンの部屋にはあのコミックの原画が飾られていた。
「これを見たら、あなたにも昔の創作意欲が蘇るんじゃないかなって」
しかしキャプテンは冷たく、スパイダーマンの興奮を遮った。
「この絵を描いたのは、子供だ。ひ弱で、病を抱えていて、絵を描いて世界に示すことだけが自分の国を救う唯一の方法だと信じ込んでいた子供の描いたものだ」
今の自分は冒険譚を描かない。画家でも夢想好きの子供でもなくなってしまった自分は、戦士なのだと、キャプテンは言う。
だがスパイダーマンは反論する。それは昔の自分を置き捨てる理由にはならないはずだと。
キャプテンがスパイダーマンに尋ねる。
「君は昔遊んだ科学セットで今も遊ぶか?」
スパイダーマンは目を伏せた。答えはNOだった。
「いじめられていた子供の頃に戻りたいと思うか?」
スパイダーマンの表情はもはやいつもの快活さを失っていた。しかしそれにははっきりと答えた。
「今でも僕は、あの頃と同じ子供だよ」
スパイダーマンはこの絵は取り外すとキャプテンに言い放つ。
意気消沈した様子で部屋を去る前に、スパイダーマンは一度、キャプテンを振り向いた。
「僕は今も時々、昔の科学セットを取り出して、なんとなく並べたりするんだ。なんでかはわかんないけどね」
スパイダーマンの去った先を、キャプテンは複雑な表情で見つめていた。
過去も受け入れて、今を生きるということ
その日、スパイダーマンは自分の科学セットをまとめて、名残惜しげながらも処分しようとしていた。
するとそこに、キャプテンが現れる。
スパイダーマンは驚き、思わず言い訳を始める。
「捨てるつもりなんだよ!決して遊ぶために出してきたんじゃなくて!この変な匂いも僕じゃないよ?これは多分…どっかでウルヴァリンがおしっこしたんだよ!だからその…」
「手伝ってくれないかな」
キャプテンの申し出に、スパイダーマンは驚いた。
「君の言ったことを色々考えて…何か落書きでもしてみる気になったんだ。無神経じゃないスーパーヒーローを作りたいんだが、なかなか難しくてね。アドバイスが必要だったんだが…君はキッチンにいなかった」
スパイダーマンの顔に笑みが浮かぶ。
二人はソファに隣り合って座ると、早速原稿を広げて一緒に見始めた。
「このキャラは飛べるの?」
「ああ、だが翼を描くのがいいのか迷っていてね」
「僕嫌いじゃないよ。…まさか、これって腕時計してるの?」
「クールじゃないか?」
「今は2012年だよ?」
感想のようなもの
・スパイダーマンの距離の詰め方、ツイッター界ならブロックものな気もするが可愛いので全てが許される。
・昔の作品を掘り出されたらキャップじゃなくても頑なになるよな(そう言う話ではない)
・スパイダーマンはアイドル。はっきりわかんだね
・ていうかスパイダーマンとキャップの体格差の描き方へのこだわりににすごい迫力を感じる
・アメリカの二大魅惑ケツ
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