川端康成超短編アンソロジー「掌の小説」

こんにちは、サトウ@mukashime)です。

肩こりに殺される。

今回は「掌の小説」です。

唯一の肉親である祖父の火葬を扱った自伝的な「骨拾い」、町へ売られていく娘が母親の情けで恋人のバス運転手と一夜を過す「有難う」など、豊富な詩情と清新でデリケートな感覚、そしてあくまで非情な人生観によって独自な作風を打ち立てた著者の、その詩情のしたたりとも言うべき“掌編小説”122編を収録した。若い日から四十余年にわたって書き続けられた、川端文学の精華である。

作品説明より

川端康成の長編を…その…実を言うときちんと読んだことがないので堂々と言うのは憚られるんですが、私は川端康成の文章が好きです。

淡々としているようでとても情緒豊かなところ。会話の一つ一つも美しいのです。

例えば本書収録の一作「妹の着物」。病で死にかけている妹の着物を着て、妹のように髪を結った姉が、見知らぬ男に妹の名前で呼び止められたシーン。

「琴子はうちで、今死にかかっています。」

姉も男も息せき切っていた。

「またか。あなたは琴子は死んだと思ってくれと、前にも言った。姉さんとやらへの義理で、死んだつもりでお嫁にゆくって。」

それを聞いて驚くと、姉は反って落ちついた。妹にも恋人があったのか。

掌の小説「妹の着物」より


とても短いやり取りで、凄まじい絶望感と緊張感が漲っています。

姉はずっと、妹を自分の分身のように扱い、結婚相手も決めてやった自分を誇っていました。

妹はそんな姉に、恋人がいることを言わず、黙って彼と別れていたのです。

そして今、死にかけている妹にそっくりの姉、自分たちの別れの原因となった姉を、かつての恋人と間違えて必死にすがる男。

滑稽なほど悲劇的な姿を、こんな風に書けてしまうのか、とため息が出ます。


この本に収録されている話は、たいていは2、3ページで完結する超短編集です。

なので私は、自分で小説を書くときのインプットにも使わせてもらっています。

短い話を起承転結しっかりまとめている話がたくさんあるので、私にとっては良い教科書です。

印象的な会話にどう持っていくか、話をどう転換させるか

小説を書くのに詰まったときに、パラパラっとめくって、1話を2分くらいで読んで…

結局、あと2、3話…と読み込んだりもしてしまうんですが…。


は〜〜上手い文章が書けるようになりて〜〜〜〜〜

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この記事を書いた人

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