こんにちは、サトウ(@mukashime)です。
映画のカテゴリーがあるのに映画について書いてないじゃん!って急遽好きな映画を探したんですけど、シビルウォーもう書いてたね。痴呆か?
今回は何年たっても心に残っている映画「明日、君がいない」です。
結構昔の映画なので完全ネタバレで行きます。
さわやかな風が吹き抜け、生徒たちの声でにぎやかな教室、廊下、グラウンド。見慣れた朝の光景に、今日もいつもと変わらない平凡な1日を過ごすかに見えた6人の高校生たち。しかし、時間の経過とともに彼ら一人ひとりが誰にも言えない悩みや問題に直面し、今にも押し潰されそうになっている現実が次第に明らかになっていく…。
Amazon prime より
学校という、他人と他人が入り混じる不思議な空間。そこには上下関係があり、友情があり、恋愛があり、いじめがある。
人気者でも、美少女でも、ごく普通に見える男の子でもその中身までは他人には見えない。
午後2:37、1人の生徒が学校のトイレで自殺した。
トイレの隙間から流れる血の映像から、物語はその日の始まりに戻り、6人の生徒たちの証言を交えながら、問題の2:37まで進んでいく。
証言をするのは、優秀なマーカスとその妹エミリー。スポーツマンのルークに彼の恋人サラ。変わり者のショーン。そして排尿障害のせいでいじめられているスティーブン。
彼らにはそれぞれ、人には言えない悩みがある。だれが「2:37」に自殺しても不思議ではないほどの重たい問題だ。
マーカスは親の期待に鬱憤を抱えている。その苛立ちを日ごろから妹のメロディにぶつけており、それはただの暴力にとどまらず性的なものも含まれる。
一方のメロディは兄からの性的虐待で妊娠してしまっており、自分より兄を大切にする親にそのことを打ち明けられない。
スポーツマンのルークは美人のサラという恋人がいるが、実は変わり者のショーンと密会している。実はルークとショーンはゲイであり、お互いの関係や自身のセクシャリティについて鬱屈を抱えている。
サラはルークを本当に愛している。彼と結婚するのが夢だ。しかし彼の心は自分にない気がして日々不安でたまらない。その上、彼にふさわしい女であるために拒食症を患ってしまっている。サラはルークがゲイであることを知らない。
日ごろからいじめの対象になっているスティーブンは、自身の排尿障害が情けなくてたまらない。今でも失敗してズボンを濡らすことが多く、頻繁にトイレに行かなくてはならない。そのせいで、ルークとショーンのトイレでの密会を目撃してしまい…。
そして問題の「2:37」が訪れた。
自殺したのは「彼女」だった。
「彼女」は確かにそこにいた。
「彼女」はサラと一緒にいたし、「彼女」はピアノを弾くマーカスに声をかけたし、「彼女」は鼻血を出しているスティーブンにティッシュを差し出した。
「彼女」の名前はケリー。
作中、ケリーは、ずっと重苦しい闇を抱える6人に優しい言葉をかけていた生徒です。
けれど声をかけられた側は、ケリーの行動を印象深く特別には受け止めませんでした。
だからといって、酷く邪険にしたわけではありません。
誰もが、ただ普通に、ケリーに無関心だったのです。
排尿障害のあるスティーブンにそっけなくされたケリーは、ふらふらとトイレに入ると、何度も嗚咽して、ためらいながらも、ついにその手首を切りました。
6人は口々に言います。
「彼女がそんなに思い悩んでいたなんて…」
誰もが自分の問題で精いっぱいで、ケリーの話を聞きませんでした。誰もケリーのことを知らなかった。もしかしたら彼女も、6人と同じく深刻な問題があったかもしれません。
しかしそれは、誰も知らない。
6人の悩み、秘密は、物語の中で必ず、誰かしらにバレていました。
ゲイであること、妊娠したこと、摂食障害であること…。それが他人に知られることは当事者にとっては耐え難いのでしょうが、救いの手が伸ばされる可能性が秘められています。
ケリーにはそれがなかった。6人とケリーの特に大きな違いはそのくらいだと私は思います。
誰もが、明日いない「君」になってもおかしくないのが現実だと。
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